Sさま宅のおっさん君のお世話をさせて頂いたのは、まだ暑さの残る9月初旬からの20日間。
これまでで一番長いご依頼でした。

それまでは長くて3日。今回は20日という長丁場で、人見知りのおっさん君がどう過ごすか、私自身も気を引き締めてお世話に通わせて頂きました。

水を飲む器に、譲れないこだわりがあった

打ち合わせの時点で、飼い主さんから「お水を飲む器に強いこだわりがある」と伺っていました。

お茶碗、似たようなマグカップ、ガラス製のコップ。
色々試して頂きましたが、どれもダメだったとのこと。

結局、景品でもらった何の変哲もないマグカップでしか飲まないことが判明しました。

一日おきのお世話も提案として頭にはありました。
長期だったので、その方が負担は少ないからです。

でも、お水をきちんと飲めるかどうかは、ごはんが足りているかどうかより優先順位が高い。

フードは自動給餌機という選択肢もありましたが、水でつまずくわけにはいきません。

結果、毎日通うことにしました。

性格を考えると、この判断は正解だったと思っています。

おっさん君は見た目に似合わず寂しがり屋で、毎日到着すると「ニャー」と鳴いて出迎えてくれます。

掃除に集中していると姿を消し、探して声をかけるとまた「ニャーーー」。
人見知りに見えて、実は甘えん坊という子は少なくないのです。

段ボールの上が、安心できる場所だった

風貌に似合わず慎重な性格で、箱の中に入ることはしないおっさんくん。

代わりに、長くお世話をさせて頂く過程で段ボールの上でくつろぐのを好むことに気づきました。あとで片づけようと思い、何気なく置いていた小さなダンボールの上に、わざわざ乗って寛ぐのです。

フローリングの床にそのまま横になっても良いと思うのですが、何故かそれをしない。
かといって、タオルのようなものを敷いてもそれは避ける。

理由は分からずじまいですが、ダンボールのクッション性が気に入ったのか、匂いなのか。
とにかくダンボールを好むので、そこが定位置になりました。

トイレの好みもそれぞれ

以前から気になっていた粗相についても、ペットシートを使う方法を提案しました。

トイレ容器がおっさんくんの体格からすると小さく、それを嫌がっているか、使いづらそうにしているように感じたのが、シートの利用を思いついた理由です。

市販のトイレは囲いのあるタイプが多いですが、おっさんくんにはそれが合わなかったのかもしれません。

猫のトイレについては多くの猫達を見ていて思うのですが、こだわりがある子もいれば、細かなことは気にしない子もいます。容器形状や砂・チップにも好みがあるのです。

粗相をする場合は、まず身体的な問題を疑い、その問題がなければ、トイレの使い方や特徴を見てご提案させて頂く場合があります。

一つひとつは小さなことですが、その子に合う形を見つけるまでは、いくつか試してみないとわからないものです。

長期のお世話で、気にかけていること

ご依頼期間が長くなるほど、意識を向ける先は動物だけではなくなる傾向にあります。

飼い主さんへの報告の仕方も、同じくらい大事になってきます。

日々の様子は、表情も体調も微妙に違い、それを丁寧に見ていくことが、結果として体調の変化に気づくことにもつながります。

「ごはん食べました。トイレも大丈夫です。今日も元気です」

この一文だけでは、飼い主さんの気持ちはあまり動きません。

単調なレポート、型にハマった文言を並べるだけでは「本当にちゃんと見てくれているのかな」と不安にさせてしまいます。

心配させすぎてもいけない。
楽観的すぎてもいけない。
近すぎても、距離を置きすぎてもいけない。

飼い主さんが何を気にかけているかを思い浮かべながら、その時々の動物と飼い主さんに合わせてお世話をする。

だから同じお世話というのは、実はあまり存在しないのです。

結果的に20日間、おっさん君はよく頑張ってくれました。

お留守番の機会は少ないに越したことはありませんが、その子に合う器、合う居場所、合う報告の仕方。見つけて工夫していく作業そのものが、シッターの仕事の中心にあるのです。

🍀おっさんくんは2025年、虹の橋を渡りました。

とにかく身体の大きな猫ちゃんでしたので、いろんな病気を心配もしたのですが、結果的に大病を患うことはなく、20歳が遠くない年齢まで生き、おおらかな飼い主さんに見守られてこの世での生を終えました。

訃報をいただくのは悲しいことですが、多くの飼い主さまが最後を知らせてくださいます。

おっさんくん、Sさま、これまで本当にありがとうございました。


※この記事は2026年7月に「シッターの目」に視点を変えて加筆修正しました。

※この記事は、23年間・約5万件の訪問シッティングで感じてきた「現場の視点」をもとに書いています。 

ABOUT ME
西山 早苗
約12年間の会社員経験を経て、2003年に福岡市東区にてペットシッターMojo Mojoを開業。気づけば、地域で最も長く続くペットシッターの一つになりました。 23年間のシッター業務、保護活動、そしてトータル30匹を超える飼い猫たちとの日常を通して感じたこと——看取りや介護、動物たちの心身の健康、飼い主さんとの関わりで気づきを得ました。 長年の現場経験をベースに、時代の変化も取り入れながら、飼い主の皆さまのお役に立てるよう日々取り組んでいます。