福岡市南区 変わらない日々の中にあった、小さなサイン――ココちゃんのこと

ココちゃんは1歳の頃からお世話をさせていただいていた猫ちゃんです。
私が知る中でも「抜群の安定感」を持つ子で、その落ち着きぶりは、ココちゃんの周りだけ時間が止まっているのではと思うほどでした。

抜群の安定感
ココちゃんは、到着すると、ほぼ100%、階段の踊り場か上がりきった場所でのんびり座って「ニャー」と挨拶してくれます。
そこからまず向かうのがウェットフードの準備です。キッチンで支度をしていると、ペンギンのように立ち上がって待つ姿があり、毎回その可愛さに胸を打ち抜かれていました。
食べる時もゆっくり味わうように、キレイに食べきります。
オモチャで遊ばせても、お尻を振って獲物に飛びかかるような動きは見せず、どちらかというと静寂を好むタイプ。
ウッドデッキの中庭に出て寝転んだり、スコ座りでお腹に顔を埋めてウトウトする姿は、まるで瞑想をしているようで、ココちゃんの中には菩薩様が入っているのではと思ったほどです。
変わらない日々
ココちゃんのお世話は1日1回。
長い留守番の時間を少しでも楽しく過ごせるようにと、飼い主さんに自動給餌機の導入をお勧めしました。
1日の食事量を6回に分けることで、数時間おきにちょっとしたお楽しみができる形です。
ココちゃんはこの6回をきっちり味わい、残すことはほとんどありませんでした。
食事量まで毎回一定という、ここでも安定ぶりが表れていました。
トイレは2台用意されていて、うんちとおしっこで使い分ける器用さもありました。
長く通わせていただいている分、回数や量、うんちの形状まで把握できていて、パターンはほぼ10年以上変わりませんでした。
そんなココちゃんでも、たまに粗相をすることがありました。
長いお留守番の時や、何か訴えたいことがある時のサインで、明らかに確信犯。
猫の粗相は現行犯でなければ注意しても効果はないので、「何か言いたいことがあったのね」と思いつつ淡々と片付けていました。
これだけ安定していた子でも、自分の意思を伝える手段はちゃんと持っていたということだと思います。
良かれと思ったフードローテーション
ココちゃんのフードのことでは、私自身も学びがありました。
猫は高齢になるとフードに飽きることがあるので、腸活も兼ねてフードの種類を増やすことを飼い主さんにお勧めしたことがあります。
飼い主さんは早速実行してくださいました。
ところが、良かれと思って勧めたフードローテーションでしたが、ココちゃんは昔から食べているフードが一番好きだったということが、残量ではっきりと分かったのです。
いろいろ試しても、結局一番食いつきが良いのは食べ慣れたフードでした。
フードローテーションという知識自体は間違っていませんが、ココちゃんは例外でした。
知識だけでなく、その子をちゃんと観察しなければ分からないことがあるのだと、実例をもって教えられました。
静けさの中で気づいた変化
ココちゃんが12〜13歳の頃、お出かけ前の飼い主さんから、最近トイレの失敗があり食欲も落ちているとご連絡をいただきました。
それを踏まえてお世話に伺うと、いつも出迎えてくれるはずのココちゃんの姿がありません。
探すと座布団の上に座っていました。
頭は上げていて、パッと見て変わったところはなさそうでしたが、フードは残していました。滅多に残さない子だったので、ここで何かあるのかもと感じました。
もともと静かな猫ちゃんだったので分かりづらかったのですが、よく見ると頑張って呼吸をしているように見えました。
そこに意識を向けると、呼吸のリズムが自然ではないことに気づきました。
循環器系にトラブルがある場合、犬も猫も横になろうとせず、気道を確保するように座った姿勢のままでいることが多くなります。
過去の事例と照らし合わせると、ココちゃんの様子はすべて当てはまりました。
飼い主さんには、帰宅後できるだけ早く循環器専門の獣医さんに診てもらうようお伝えしました。
結果は心臓病でした。
飼い主さんはそれから、ココちゃんにとって何が最善か、しっかり考えて選択をされました。
🍀ココちゃんは一昨年、虹の橋を渡りました。
シッターの目から見ても、とても幸せな猫ちゃんだったと思います。
今頃は中にいた菩薩様と対面し、いっそう穏やかに過ごしていることでしょう。
ココちゃんからの学びも多かったです。
ココちゃん、そして飼い主さん、本当にありがとうございました。

※本記事は公開後、内容を一部更新しています。
※この記事は、23年間・約5万件の訪問シッティングで感じてきた「現場の視点」をもとに書いています。









