小説家・山本甲士氏の「猫の手を借ります」という作品を、タイトルに惹かれて手に取った。

読み進めるうちに、同じ著者の作品だったと気づくということが何度かあった。
淡々と物語が進み、登場人物にも変な圧がない。
読んでいて疲れないし、当たり前のことを大切にしなきゃなと前向きになれる文章だった。

このブログのタイトルは、そのオマージュである。



2003年7月、私は12年ほどの会社員生活を経てペットシッター業で独立した。
今年(2026年)、開業から丸23年を迎えた。

24年目に入った今、あと2年で25周年という節目を前に、仕事の面と、私生活
――つまり猫との暮らしの面から、これまでを一度整理しておきたいと思うようになった。

ペットシッターという仕事を選んだこと自体、猫との関わりと無関係ではない。
むしろ、猫がいたからこそ今の私がある、という感覚がずっとあった。

ただ、それがどの程度のものだったのか、直接・間接的に、どんな形で今の自分を作ってきたのか。

あらためて数え、並べ、振り返ってみたことはなかった。

そこで、これまでに迎えた飼い猫たちの記録を、出会った年、亡くなった年、享年、保護の経緯、病名という項目でリストにしてみた。

32匹分になった。


数えて初めて見えたこと


作ってみて、気づいたことがある。

開業から5年目あたり、仕事が完全に軌道に乗った時期から、コロナが流行る前年の2019年までのおよそ10年間。この期間に亡くなった猫は18匹だった。

32匹のうちの半数以上が、2008年~2019年の約10年間に集中している。

当時は目の前で起きていることへの対処に追われていて、自分を振り返る余裕はほとんどなかった。


もう一つ気づいたことがある。

半数以上の猫は、お客様や仕事を通して私の元へやって来ていた。

ペットシッターという仕事と、猫との暮らしは、思っていた以上に切り離せないものになっていた。

今回リストにして数字として並べてみるまで、それがどれほどの密度だったのか、自分でも実感していなかった。

このシリーズについて


このブログでは、これから一匹ずつ、あるいは出会った状況に応じて何匹かまとめて、その猫たちのことを書いていこうと思う。

出会いと別れ、必要であればその間の経過も。


普段私が書いているお役立ち情報の記事――猫に多い病気のこと、治療法の変化、看取りや命との向き合い方――
は、ネットであちこちから集めた情報をまとめたものではない。

書いているのはすべて、自分が経験し、こうすれば良かったと思ってきたことだ。
ネットは、それを裏付けるために使っているに過ぎない。

体験の中身そのものを綴っていく。

32匹の猫達とこの30年余りの経験が、今ブログで書いているお役立ち情報の土台になっている。


数えてみなければ見えなかったことがある。
並べてみなければ気づかなかったこともある。

このシリーズは、そんな30年を、一匹ずつたどり直す記録でもある。



次回から、1995年に出会った最初の2匹の話から始める。

ABOUT ME
西山 早苗
約12年間の会社員経験を経て、2003年に福岡市東区にてペットシッターMojo Mojoを開業。気づけば、地域で最も長く続くペットシッターの一つになりました。 23年間のシッター業務、保護活動、そしてトータル30匹を超える飼い猫たちとの日常を通して感じたこと——看取りや介護、動物たちの心身の健康、飼い主さんとの関わりで気づきを得ました。 長年の現場経験をベースに、時代の変化も取り入れながら、飼い主の皆さまのお役に立てるよう日々取り組んでいます。