最近、AIでシッティングレポートを書けないだろうかと、実際に試してみました。

結論から言うと、私はやめました。

理由は、文章の質ではありません。
「何か」が抜け落ちていると感じたからです。



最近のAIの進化は、正直すごいと思っています。

私は文章の構成や整理、サイトの実装、リライトの壁打ちなど、かなりの場面でAIを頼りにしています。

特にブログを書き溜めていく中で、自分がどんな考え方の傾向を持っているか、何を大事にして、何を伝えようとしているのか。

それが対話を重ねるうちにだんだん輪郭を持って見えてくる感覚がありました。

これは検索して答えをもらう、という使い方とは違います。

何度もやり取りする中で、自分自身が整理されていく。
AIは、私を拡張してくれる心強いパートナーだと感じています。

そんな私が、ひとつだけAIに任せるのをやめた作業があります。

それは、お客様へのご報告レポートです。

実際、試してみたこと

私が試してみたことは、アプリを使い音声で要点を録音し、要所要所で自分の見方も加えながら、最終的にAIにテキストへ整えてもらうというやり方でした。

出来上がった文章は、悪くありませんでした。
むしろ整っていました。
誤字もなく、読みやすく、要点も過不足なく拾えている。

でも何かが足りないという感覚があるのです。
答えは「私の温度感や距離感」でした。


漠然としたものなのですが、私なりの空気感が反映されていないのです。
これは何度トライしても納得のいく結果を得られませんでした。

私が大事にしている“観察”とは 

温度感・空気感とは具体的には、

例えば、ワンちゃんの散歩。

「今日も楽し気に歩いていました」とは書きたくない。(笑)

どう楽し気なのか、
これまでとの違いはないか、
どうしていつもと違うと私が感じるのか、

そんな背景を想像するのです。

いつもと同じように歩いているように見えても、今までは何となく控えめな歩調だった子が何かが吹っ切れたように自発的・主導的な歩調になることもあります。

そんな微細な変化を観察して理由をさぐる。

その時は理由が分からなくても飼い主さんとお話をさせて頂くことで合点がいくこともあります。

フードの食べ方も然り。

「残さず食べました。完食です!」
と、書くこともできますが、全部食べたという結果は同じでも、食べ方に違いがあることもある。

その違いの理由は何?とまた背景をさぐる。

これらは例えですが、動物達の見せる様々な表情の中に、私なりの捉え方を経験も踏まえて表現する。

そんなことをしていますし、心がけています。

取るに足らないことかもしれないのですが、このことが飼い主さんの視点を増やしたり、見方を変えるキッカケになる場合がこれまでに何度かありました。

違和感の正体

文章として間違っているわけではないのです。

ただ、私らしさというか、カラーのようなものが薄まっている。

AIは基本的に、平均的によく出来た文章を作ろうとする仕組みだと思うので、癖や間の取り方といった個人差は、どうしても削がれやすいのでしょう。

これはAIの精度の問題というより、そもそもの設計思想の話なんだろう、と受け止めています。

文章は、私自身のコンディションでもある

もうひとつ、自分で書き続ける中で気づいたことがあります。

報告の文章は、調子よく書ける時と、そうでない時があります。

ひとつは、目の前の状況をどう伝えれば飼い主さんに一番伝わりやすいか、言葉を選びながら考えているケース。
これは前向きな時間のかかり方です。

もうひとつは、単純に私自身が疲れている時。
頭がうまく回らず、書きたいことがうまく言葉にならない。

「あれ、私、自分で思っているより疲れているのかも」と、文章の出来から自分の状態に気づかされることが、実は結構あります。

私にとって文章を書くことは、仕事の一部であると同時に、自分の状態を点検する時間でもあるのです。

これを全部AIに任せてしまうのは、労力としては正直助かります。
でも、少し惜しい気がしています。

人間らしさという点で。

だから、私はここだけは自分で書く

AIの活用そのものを否定するつもりは全くありません。
むしろ多くの場面で、私にはなくてはならない存在です。

ただ、お客様との関係性が問われる場面、つまり「私であること」自体が価値になる場面では、私は自分の手で書くことを選んでいます。

AIは私の仕事を広げてくれる存在です。

でも、お客様との間に流れる時間や、その子を見つめた私自身の感覚までは代わってくれません。


拡張してくれる場面と、本人であることが価値になる場面。
その線引きを、これからも意識していこうと思っています。

ABOUT ME
西山 早苗
約12年間の会社員経験を経て、2003年に福岡市東区にてペットシッターMojo Mojoを開業。気づけば、地域で最も長く続くペットシッターの一つになりました。 23年間のシッター業務、保護活動、そしてトータル30匹を超える飼い猫たちとの日常を通して感じたこと——看取りや介護、動物たちの心身の健康、飼い主さんとの関わりで気づきを得ました。 長年の現場経験をベースに、時代の変化も取り入れながら、飼い主の皆さまのお役に立てるよう日々取り組んでいます。