ペットシッターを始めようとすると、「どんな資格が必要?」という疑問が最初に浮かぶ方が多いようです。
資格さえ取れば始められる、という安心感を求めているのかもしれません。

でも正直に言うと、現場業務を20年以上やってきた今振り返ると、資格よりももっと大事なことがあります。

資格はスタートラインに立つための道具にすぎない

ペットシッターとして開業するには、動物取扱業の行政登録が必要です。

登録には動物取扱責任者としての要件を満たす必要があり、その条件の一つとして資格取得が含まれます。
要件の詳細は法改正や地域によって異なりますので、開業を検討している地域の動物愛護管理センターか市区町村の担当窓口に直接確認してください。

民間資格のペットシッター講座であれば、難易度はそれほど高くありません。

どの講座を選ぶかは個人の関心や予算次第で、正直なところ、私は受講料の安さで選びました。
理由はシンプルで、開業に向けた販促物の制作など、他のことにお金を使いたかったからです。

資格取得はあくまで入口。肝心なのは、その先にあります。

私が開業前にやった4つのこと

資格取得と並行して、私は次のことを(ほぼ同時進行で)進めていました。

先輩ペットシッターからの実務研修 
机上の勉強で業務の大枠はつかめましたが、頭の中でイメージしたことを現場で確認したくて、現役のシッターさんに研修をお願いしました。
自分のイメージとの差がさほどないことを確認しつつ、「自分ならこうしてみよう」というアイデアも生まれました。机上の勉強より現場の方が、私には有益でした。

ペットショップでのアルバイト 
動物が好きとはいえ、それだけでは足りないと思い、半年間だけペット業界を肌で知るためにアルバイトをしました。開業準備もこの期間に並行して進めています。

創業塾の受講 
ペットシッターで創業セミナーを受けた人は少ないかもしれません。
全業種向けの内容を自分の仕事に当てはめながら、市場調査・営業方法・売上予測・自店の強みと弱みの整理など、一人では見当もつかなかったことを体系的に学べました。

商工会議所などで開催されており、私が受けた塾は5回・5,000円という内容でした。本気で開業を考えている人には今でもお勧めできます。

動物の知識は、現場で蓄積していくもの

飼い主として犬・猫・うさぎなどの飼育経験があったとしても、それはあくまで「飼い主としての情報」です。頭数が少なければ、知識はどうしても偏っています。

ある程度は勉強しておくに越したことはありませんが、実際に現場に出ると、病気の詳しい知識や、しつけの専門的な情報をお客様から求められる場面は思ったほど多くありません。

それよりも「頼まれたことを確実にやり遂げる」ことが、この仕事の本分です

病気はかかりつけ医、しつけは専門家という住み分けがありますから、新米シッターがすべてを知っている必要はないのです。

開業後も勉強は続きますが、幅広くやる必要はありません。
自分の関心のあることから始める方が長続きします。

私自身、愛玩動物飼養管理士のやホリスティックケアの勉強は、どちらも自分が気になったから勉強しました。そうして得た知識の方が現場でよく活きています。

一番身になるのは、目の前の動物や飼い主さんの相談に向き合うために本気で集めた情報です。

地域の動物情報を集めることも、立派な仕事の準備

動物の知識と同じくらい、地域の動物関連情報は役に立ちます。

お客様からよく聞かれるのが動物病院の情報で、「評判はどうですか?」という質問は今でもよく尋ねられます。

開業前の時間があるうちに、地域の動物病院・トリミングサロン・しつけ教室・ペットホテルなどをリストアップしておくとよいでしょう。
ペット業界全体を俯瞰する目も育ちますし、後々さまざまな場面で役に立ちます。

これは「資格」というテーマから少し外れているように見えるかもしれませんが、資格取得も地域情報の収集も、根っこは同じ「仕事のための知識を仕入れること」です。



※この記事は2020年9月に公開し、2026年6月にリライトしました。

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西山 早苗
約12年間の会社員経験を経て、2003年に福岡市東区にてペットシッターMojo Mojoを開業。気づけば、地域で最も長く続くペットシッターの一つになりました。 23年間のシッター業務、保護活動、そしてトータル30匹を超える飼い猫たちとの日常を通して感じたこと——看取りや介護、動物たちの心身の健康、飼い主さんとの関わりで気づきを得ました。 長年の現場経験をベースに、時代の変化も取り入れながら、飼い主の皆さまのお役に立てるよう日々取り組んでいます。