ペットシッターになりたての頃は、動物に関する知識を一生懸命勉強しています。
そしてつい「専門性を前面に出した方が信頼されるのでは」と考えてしまいがちです。

でも少し立ち止まって考えてみてください。

飼い主さんが本当に求めているのは、それでしょうか。

知識や情報の提供も大切ですが、それより先に押さえるべきことがあります。

この記事はペットシッターを目指す方だけでなく、飼い主さんにも役立てていただける内容です。

専門知識より先に押さえるべきこと

飼い主さんがペットシッターに依頼する時、最も基本的な期待は「打ち合わせで伝えたお世話を、確実にやってくれること」です。
その信頼があって初めて、知識や提案が活きてきます。

専門性を一方的に伝えることは、時として押しつけがましく受け取られることもあります。

立場を変えれば想像できますよね。情報をシャワーのように浴びせられても、消化しきれなかったり、場合によっては敬遠されてしまいます。

関係を築いた上で「こうするとより過ごしやすくなるかもしれません」とやわらかく伝える。その順番が大事です。

では、基本とは具体的に何か。
私が特に重要だと考えているのは次の4つです。

ごはん・トイレ・お水(飲水量)・表情と動き
これに加えて、留守番環境と安全面も押さえておく必要があります。

ごはん・トイレ・お水——この3つに情報が詰まっている

ごはんで確認するのは、フードの残量、食欲と食べ方、食器の状態、食べる場所、保存方法、フードの種類などです。

これだけで動物の状態を読み解くための情報が詰まっています。

トイレのチェックポイントは、うんちやおしっこの状態・量・色・臭い、容器のサイズや汚れ、場所、シートや砂の種類など。

ここにも健康状態を示すサインがぎゅうぎゅうに詰まっています。

お水については、犬も猫もできるだけたくさん飲んでもらいたいと私は考えています。「水は薬にもなる」と言う獣医師もいるほどです。

ただ飲めればいいというわけではなく、水の鮮度・容器の数とサイズ・汚れ(カビやぬめり)・水道水かどうか・温度・飲水量まで気を配ります。

容器の汚れについて、一つだけお願いがあります。
自動給水機を含め、目安は「その水を飼い主さん自身も飲みたいと思えるか」です。これを基準にするだけで、多くの問題が自然と解決します。

表情・動き、そして留守番環境と安全面

表情と動きは、飼い主さんの方が変化に気づきやすい部分でもあります。
ただ、数を経験するうちにシッターも他のお宅の子との比較や醸し出す雰囲気から察知できるようになっていきます。

変化を感じたらその理由を探ることが大切です。病気のサインのこともあれば、ストレスサインのこともあります。
飼い主さんも「気のせいかな」と思うことがあれば、ぜひその違和感を大切にしてください。

留守番環境と安全面では、誤飲・誤食につながるものがないか、脱走のリスクはないか、ケガをしそうなものはないかなどを確認します。

特に気をつけてほしいのが夏の暑さと冬の寒さの対策です。
「うちの子は健康だから大丈夫」と思っていても、動物たちはじっと耐えています。それだけは確かです。

基本を侮らない理由

ごはん・トイレ・お水・表情と動き——どれも当たり前に聞こえます。
だからこそ軽視されやすく、見過ごされやすい。

でも23年間この仕事をしてきた実感として、動物の健康の要はこの4つに尽きます。

問題の多くは、この基本の延長線上に潜んでいて、時間とともに病気やストレスサインとして表れてきます。
どれだけ知識を積んでも、基本があってこそ成り立つのだと今も改めて感じています。

最後にもう一つ。

ペットにとって何より大切なのは、飼い主さんの存在です。
彼らはいつも、けなげなまでに飼い主さんを見つめています。それを忘れずにいてほしいと思います。



※この記事は2020年12月に公開し、2026年6月にリライトしました。

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ABOUT ME
西山 早苗
約12年間の会社員経験を経て、2003年に福岡市東区にてペットシッターMojo Mojoを開業。気づけば、地域で最も長く続くペットシッターの一つになりました。 23年間のシッター業務、保護活動、そしてトータル30匹を超える飼い猫たちとの日常を通して感じたこと——看取りや介護、動物たちの心身の健康、飼い主さんとの関わりで気づきを得ました。 長年の現場経験をベースに、時代の変化も取り入れながら、飼い主の皆さまのお役に立てるよう日々取り組んでいます。