
「肚で感じる」仕事の本質
ペットシッターという仕事は、一見すると「誰でも始められる仕事」に見えるかもしれません。
ですが実際は、お世話をする動物の命と、飼い主さんの安心を預かる責任の重い仕事です。
だからこそ、専門的な技術だけでなく、“シッター自身の在り方”が大きく結果を左右します。
私はこれまで22年ほどシッターとして働き、多くの動物・飼い主さんと関わってきました。
その中で一つ、確信していることがあります。
それは、
「技術は大切。でも、“肚”で感じる力を育てないと本質的な安心は届けられない」
ということです。
昭和初期の人々は「肚でものを感じる」最後の世代だったのかもしれない
少し個人的な考えをお話しさせてください。
昭和初期やそれ以前に生まれた人たちは、今よりもずっと“肚=身体の中心”で物事を感じ取り、判断していたように思います。生きるための感覚が自然と育っていた世代です。
私たち、昭和の半ば以降に育った世代は、個人差こそあれ、どうしても 「頭で考える」 ことに偏りがちでした。
戦後復興の勢いと、近代化がもたらした“思考偏重”の流れの中で、多くの人が自分でも気づかないまま「肚の感覚」を置き去りにしてきたのだと思います。
昔が良かったと言いたいわけではありません。
ただ、今の時代はその“ひずみ”がいろいろなところに現れてきていて、だからこそ今 「内側の感覚を育てる」 ことの大切さが見直され始めているのではないか――
そんなふうに感じているのです。
そしてこれは、ペットシッターの仕事とも深くつながっています。
技術より“在り方”が先に育つと、仕事は驚くほどスムーズになる
シッターを目指す方や開業して間もない方がまず気になるのは、「どうやって軌道に乗せるか」「どうやって稼ぐか」という実務的な部分でしょう。
過去の私もまったく同じでした。
でも、長く現場にいると、実務の前に“シッター自身の精神的インフラ”が整っているかどうかで仕事の質や見え方が驚くほど変わることが実感として分かってくるようになりました。
- 動物達が安心して身を預けてくれる
- 飼い主さんが信頼して任せられる
- 問題行動が減る傾向にある
- トラブルを未然に防げる
- 自分自身が消耗しない
- 仕事が自然と続きつながっていく
これらの多くは、技術そのものだけでなく、「どんな視点で動物を見るか」「どんな心持ちで現場に立つか」 に強く影響されます。
言い換えるなら、“肚で感じる力”があるかないかで、同じ行動でも結果が変わるということです。
では、ペットシッターの仕事は何で構成されているのか?
ここで、一度全体像を整理してみたいと思います。

これは私自身が、長年の現場経験の中で頭の中に育ててきた“仕事の地図”のようなものです。
誰かに押しつけたいわけではありません。
ただ、シッターの仕事が「技術」と「心持ち」の両方で成り立っていることを視覚的に伝えるための一つの例として描きました。
図を見ていただくと、ペットシッターは
- 事業運営の基盤(法律・契約・料金・計画など)
- 実務的な専門技術(給餌、水、排泄の管理観察、衛生、散歩、緊急対応など)
- 信頼関係の構築(傾聴・報告・安心感)
- 察知力や柔軟性(環境読み取り、ストレス反応の把握)
- シッター自身の精神的インフラ(自覚・動機・貢献感)
といった多層構造になっていることが分かります。
つまり、“技術だけの仕事”でも、“心や気持ちだけの仕事”でもない。
その両方を育てていく仕事なのです。
だからこそ、「やり方」より「気づき」から始めたい
シッターにはそれぞれ個性があり、感性も違います。
強みも弱みも違うから、同じものを見たり触れたりしても、深く響く人もいれば、表面的なことや物事の外側に注意を引かれる人もいる。
受け取る内容が人によって結構違うのです。
私が選んだやり方は
“自分の内側に意識的に目を向け、その感覚を読み取り、信じてみる”
ということでした。
このことに気付きはじめたのはシッターを始めて15年位経った頃でした。
それまでの私は、それこそ「頭」で考えることを優先していたのです。その方が理にかなっていると思っていました。
でも、変わろうとすることは簡単ではなかったのですが、地道に内側を見ることを続けてみたのです。
何故なら、その先に当時の私には見えていない何かがあるような気がしていたからでした。
結果、
「肚で感じようとする」やり方の方が、ずっと仕事の質に直結することを実感しています。
お世話の現場や飼い主さんとの関りを通して気づいた感覚を状況に応じて反映させることは、時間をかけて動物、飼い主さん達にも静かに伝播していきます。
これは、理想やきれいごとではありません。実体験です。
実際に、私自身がそのプロセスで仕事を続けてきたからこそ、確信を持って言えることなのです。
最後に:これからの時代に求められるシッターの姿
時代は確実に変わっています。
効率やスピードだけで動物に向き合う時代ではなく、“その子の声を感じ取る人”が求められている。(「声」といってもアニマルコミュニケーションのことではありません。)
そして、そのためにはシッター自身が「自分の内側を感じる力=肚の感覚 」を育てることが欠かせないと思っています。
ペットシッターの仕事は、技術を磨き、同時に自分自身も育てていく仕事。
この視点を持てるだけで、現場は驚くほど変わります。
私たちの在り方が、目の前の動物たちや飼い主さんにそのまま伝わる仕事だからこそ、上記のイラストにあるように「非認知要素」に目を向けて実践していくことの大切さを日々感じています。
最後の最後にぶっちゃけますが、
一見きれいごとのように思えるこのやり方の方が、コンスタントな売上づくりや、良好なお客様との関係構築に最短でつながる方法なのです。
このことを私は開業前に知りたかった。。。(笑)
とはいえ、20数年前の私がこのことを知っていたとしてもその本意に気付けたかどうかは怪しいです。(苦笑)
これはシッター業に関わらず、あらゆる業種に通じる一つの秘策ではないかと、私は感じています。
誰も損せず消耗せず、お客様や動物達のみならず、自分も心地よい場を大切にしていければと思っています。
今回も長文になりました。
最後までお読みくださりありがとうございました。



