知識とのちょうど良い距離感

私は「正しい飼い方」を伝えるためにこの記事を書いているわけではありません。
今回扱う内容は、調べればインターネット上にも出てくる情報です。

それでもあえて書こうと思ったのは、これらの情報をどんな距離感で受け取るかが、大切だと感じているからです。

現場で長く動物と飼い主さんを見てきて、知識そのものよりも知識との向き合い方が結果を大きく左右する場面を何度も見てきました。

この記事はノウハウではなく、ひとつの視点のサンプルとして読んでいただけたら嬉しいです。

知識が増えるとき

動物と暮らしていると、ある時期から急に「調べる量」が増えます。

・年齢を重ねたとき
・体調の変化に気づいたとき
・病院に通い始めたとき

検索する回数が増え、知識はどんどん増えていきます。

そして多くの飼い主さんに起きることがあります。

知れば知るほど、不安が増える。

これはとても自然な流れです。
情報が悪いわけではありません。
問題は、情報との距離が近くなりすぎてしまうことです。

現場で何度も見てきたこと

長く現場にいると、同じ知識を持っていても結果がまったく違うケースを見ます。

穏やかに過ごせる家庭。
常に不安が付きまとう家庭。

違いは愛情の量ではありません。
知識の量でもありません。

知識との距離感です。

検索疲れしている飼い主さんをこれまでにも結構見てきました。
その真剣さや愛情は疑いようがありません。

それでも、同じ情報が、安心になる人と、不安になる人がいます。

長く関わる中で、人はそれぞれの経験や前提を通して情報を受け取っているのだと気づきました。

だから私は「これが正しい方法です」と簡単に言い切れなくなりました。

知識が重くなるとき

知識は本来、選択肢を増やすためのものです。
でも、ある瞬間から役割が変わります。

選択肢が増える

選ばなければいけなくなる

間違えたくなくなる

ここから空気が変わります。

本来は暮らしの中にあった動物の存在が、少しずつ「管理対象」のように感じ始めてしまうのです。

私がノウハウにこだわらない理由

ここで誤解してほしくないのですが、私は知識を否定したいわけではありません。
むしろ逆です。

知識は知っておいた方が楽になります。
知らなくても愛情は変わりませんが、知っていると視野は確実に広がります。

だからこのシリーズでは、具体的なテーマも扱います。

高齢期のケアや、サプリメントの話も出てきます。ただし目的はひとつ。
正解を提供するためではなく、安心の余白を増やすためです。

「安心の余白」と書くと抽象的ですが、「正解」ではなく「適切さ」が大事なのでは?と思っています。

情報が増えた時代の飼い主さんへ

今は、調べれば何でも出てくる時代です。
選択肢は確実に増えました。

同時に、迷う回数も増えました。
正解が増えたのではなく、
正解らしく見えるものが増えたとも言えます。

迷って当然です。

私はそれぞれの家庭やライフスタイル、飼い主さんの個にあった適切なやり方をお勧めしたいですし、選んで頂きたいと考えているのです。

「適切」というのは無理なく継続できるというのが目安になります。

このシリーズで書いていくこと

このシリーズでは、一般的にも知られている内容をあえて取り上げます。

・高齢期の猫のケア
・フルボ酸という物質

どちらも特別な情報ではありません。
本気で調べれば誰でも辿り着ける内容です。

それでも書こうと思ったのは、現場を通して見えてきた
知識とのちょうど良い距離感を、具体例を通して伝えたいと思ったからです。

次回予告

次回は「高齢期のペットのケア」をテーマに、情報との向き合い方を整理していきます。

いわゆる飼い方のコツとして語られることが多い内容を、少し違う角度から見ていきます。