AIはあなたの「鏡」である—ペットのために調べるということ(2-1)

昨今、情報収集の手段は増えました。
検索エンジンに加えて、今やAIに聞けば、たいていの質問には即座に答えが返ってきます。
ペットの病気、食事、終末期のケア
飼い主が真剣に調べる場面は多く、それ自体はとても大事なことだと思います。
ただ、現場で仕事をしていて、ふと気になることがあります。
調べているのは、ペットのためか。
それとも、自分が信じたいことの確認のためか。
AIに質問するとき、私たちは無意識に前提を乗せている
「できるだけ自然な形で過ごさせたい」という気持ちがあれば、質問にもその色がにじみます。
するとAIは、その方向に沿った情報を丁寧に返してくれる。
間違ったことは言っていない。
でも、別の視点はそこには現れません。
AIは賢いツールですが、中立ではない。
質問した人の前提を映し出す鏡に近い。
だから質問の仕方が、答えをある意味で決めてしまいます。
これはペットケアに限った話ではありません。
私自身、先日、SNSの発信方法をAIに聞いたとき
「時短で効率的に」という条件をつけた途端、
肝心の「誰に届けたいか」という話がすっぽり抜け落ちた回答が返ってきました。
質問の枠が、答えの枠を決めてしまっていたのです。
愛するペットのことならなおさらです。
たとえば同じ状況でも—
「自然療法でできることを教えて」と聞くのと、
「この状態の猫が今一番楽でいられる方法を教えて」と聞くのとでは、返ってくる情報はかなり違います。
どちらが正しいということではありません。
ただ、聞き方の中にすでに、自分の願いが入っているのです。
「自然=身体が楽」とは限らない。
これは、長年ペットシッターとして現場で感じてきたことです。
自然療法は、投薬や処置のストレスを避けられるかもしれませんが、
痛みや苦痛そのものへの対処が抜け落ちることがあります。
飼い主の「こうあってほしい」という思いが強いほど、
目の前の動物の状態が見えにくくなることがあるのです。
愛しているからこそ、大事な存在であるからこそ、
フィルターがかかりやすい。
情報収集は出発点に過ぎません。
集めた情報が「今、この子に合っているか」を判断するのは、最終的には人間の仕事なのです。
AIを使うなというのではない。むしろ積極的に使っていい。
ただ一つだけ、意識しておいてほしいことがあります。
自分がどんな前提で質問しているか、
一度立ち止まって見てみるということ。
その問いかけが、情報を「確認」から「判断」に変えるのだと思います。
追記
このブログは実体験から生まれました。
「ペットを楽に過ごさせたい」
という思いは同じはずなのに、お客様との会話がどこかかみ合わない。
その違和感の正体に気づいたとき、この記事を書こうと思いました。



