ペットシッターを20年以上やっていると、「どうやって選べばいいですか」と聞かれることがあります。

正直に言うと、業界の内側にいる私でも、明確な答えを出せずにいます。

良いシッターの条件を言葉にしようとすると、どこかふわっとしてしまう。
「動物が好きな人」
「責任感がある人」
—そんな言葉では、たぶん何も伝わりません。

これは、自分なりに整理してみた覚書です。

結局のところ、正解は相性である

一言で言ってしまえば、
お客様とシッターの相性、ペットとシッターの相性に尽きます。

そして正直なところ、利用してみなければわからない部分は確かにあります。

ただ、それでは身も蓋もないので、利用前に読み取れることを整理してみます。

最初の判断材料は、やりとりの中にある

初対面のシッターを評価できる材料は、最初はほぼ二つしかありません。
問い合わせへの返答と、ホームページの言葉です。

返答が的を外していないか。
質問に対して適切に答えられているか。

丁寧すぎても、雑でも、何かが見えます。
文章や言葉のやりとりは、その人の仕事の仕方が滲み出る場所だと思っています。

「動物好き」は条件ではない

シッターは動物好きアピールをしがちです。
それは嘘ではないし、そういう側面は確かにあります。

ただ、打ち合わせの場でペットに積極的に近づこうとするシッターを、私は少し注意して見ます。

プロは、初対面の打ち合わせの段階からお世話の動きをイメージしています。
だから、むやみに距離を詰めません。

どう接したらこのペットにストレスがないかを、飼い主さんの話を聞きながら観察しています。

ペットも、初対面の相手の空気を読んでいます。
下手な演技は、動物には通じません。

口コミは参考程度に

実績を知る手がかりとして口コミは有効ですが、その多くは主観であることは認識しておいた方が良いでしょう。

書いた人の状況、期待値、感じ方によって評価は大きく変わります。
一貫性がないのはそのためで、それ自体は仕方のないことです。

分かりやすいのは同じペット関連分野で挙げるなら動物病院の評価です。

これこそ、治療が上手くいったか否かで明暗が分かれがちです。
最近の特徴としては治療そのものよりも、サービス面(フレンドリーか否か)で判断されているケースも多いようです。

当然、サービス面も大切です。
でも、動物病院を訪ねた本来の目的からズレている評価も割と見かけます。

私個人の見解としては、獣医師のコミュニケーション力もある程度見ますが、治療に対する姿勢や飼い主側の事情を汲み取ろうとしてくれているか、選択肢があるならそれを分かりやすく提示してくれているかなどを目安にします。

言葉を話さないペットにとっての仲介役が飼い主という立場ですので、丸投げではなく対話が必要だと思っています。

話がだいぶそれましたが、口コミについては参考にしつつ、鵜呑みにしない。
それくらいの距離感が適切だと思います。

では、利用前の段階で何を見ておけばいいのか

あくまで一例ですが、私はこのあたりを見ています。

  • 問い合わせへの返答が的確か
  • 初対面で距離を詰めすぎていないか
  • ペット単体ではなく、生活全体を見ようとしているか
  • 提案に幅があるか(他の手段も含めて)

実用的なこと、いくつか

シッターという他人を家に入れる以上、選ぶハードルが高くなるのは自然なことです。
一度決めたら他に変えづらい、という心理も分かります。

ただ、ペットのライフステージによって必要なケアは変わります。
若い頃と、シニアになってからでは、求められることが違います。

複数のシッターを状況に応じて使い分けるのは、むしろ賢い選択です。
繁忙期に動けるシッターを確保しておくためにも、2件程度はキープしておくといいでしょう。

また、自動給餌機などの活用を、飼い主のライフスタイルやペットの性質を考慮して提案できるシッターは、視野が広いと思います。

逆に、売り上げにこだわりを見せるシッターとの付き合いは、長続きしないことが多いです。

動物だけを見るのではなく

動物の知識は大切です。

ただ、パターン化した対応しかできないシッターは、個体差の大きい動物相手には限界があります。

私が大事にしているのは、暮らしの中にいる動物を見るということです。

  • ペットと飼い主さんの関係
  • 生活のリズム
  • その家の空気

そこまで含めて見ることで、ペットにとっても飼い主さんにとっても、本当に意味のある関わり方ができると思っています。

最後にひとつだけ

長くやっていると、知識も知恵も思い込みも積み上がってきます。
ただ、結局のところ、この仕事を選んでいる人間は動物が好きなのだと思います。

それは依頼してくださる飼い主さんと、たぶん同じ気持ちです。
お金を追うなら、もっと別の仕事がありましたからね。(笑)

そのうえで。

ペットだけでなく、その家の空気や関係性まで含めて見ているかどうか。
ここは、シッターによってはっきり差が出る部分です。

優劣というより、関心の有無と言えるのかもしれません。
ペット単体で見るのか、暮らし全体まで含めて見るのか。
その違いです。

「ただお世話をする」だけでいいのか、
もう一歩踏み込んだ関わりを望むのか。

求めたい要素は、そこから自然と見えてくると思います。

「動物が好きかどうか」より、
その人がどう関わろうとしているのかを見てみてください。