ペットシッターの現場を勝手に分析(全2/5回)-ペットシッターの仕事は「見えない判断」でできているー


何も起きなかった判断は評価されない
ペットシッターの仕事は、「何をしたか」ではなく「何を判断したか」で成り立っています。
そして厄介なことに、 判断はいつも結果でしか評価されません。
何も起きなければ評価されない。
何か起きたときだけ評価される。
この仕事の重さは、ここにあります。
作業よりも判断が仕事の中心
給餌、トイレ掃除、投薬、報告。
表面上は作業の仕事に見えます。
でも実際の現場では、常に判断が発生しています。
・報告するか、しないか
・様子を見るか、受診するか
・今伝えるか、帰宅後にまとめるか
・どこまで詳しく書くか
一回の訪問の中で、小さな判断が何十回も積み重なっています。
判断には「正解」がない
ここがこの仕事の難しさです。
ほとんどの判断に明確な正解がありません。
その答えが分かるのは、いつも後からです。
報告するか、しないかという判断
ある高齢猫のケースです。
普段はゆったりと出迎えてくれ、おやつにも目がない子。
その日に限って出迎えがありませんでした。
食欲はゼロではない。でも、どこか元気がない。
昼の訪問なので「眠いだけかもしれない」という可能性もあります。
このとき悩むのは、今すぐ伝えるかどうか。
依頼日数が短ければ伝えます。
見極めの時間がないからです。
長期不在なら、もう一日様子を見ると判断することもあります。
これが正解とは限りません。すべては状況次第です。
受診を勧めるかどうかという判断
受診を勧めない判断もあります。
地域に往診サービスがあれば、代替手段として提案します。
そのため、地域のペットサービスには常にアンテナを張っています。
また、通院自体が強いストレスになる子もいます。
特に猫に多い傾向です。
通院が正解とは限らない。
妥協点を伝えることもあります。
最悪の結果を想定しながら伝えることもあり、思っている以上に重い判断です。
早めに連絡するという判断
逆に、迷わず連絡するケースもあります。
・尿閉が疑われるとき
・誤飲誤食の可能性があるとき
・明らかに元気がない、ぐったりしているとき
・吐血や異常な嘔吐
この場合は、事後連絡でそのまま病院へ向かうこともあります。
判断は結果でしか評価されない
様子見して何も起きなかった場合、その判断は評価されません。
受診を勧めず問題が起きなかった場合、その判断も評価されません。
でも、結果が悪ければ、同じ判断が「ミス」になります。
「何も起きなかった」は成果にならない
事故が起きなかった日。
体調が安定していた日。
問題が発生しなかった訪問。
それらはすべて、「評価されない成功」です。
判断の孤独
判断は基本的に一人で行われます。
現場にいるのは自分だけ。
その場で決めなければいけない。
訪問が終わっても、「あの判断は正しかっただろうか」
と、考え続けることもあります。
だからこの仕事は消耗する
作業が多いからではありません。
忙しかったり、移動が多いからというだけではありません。
見えない判断が毎日積み重なるからです。
無意識下で思いがけず消耗しているのです。
次にぶつかる壁
判断に慣れてくると、次の壁にぶつかります。
それが「知識」です。
知識は判断を助けます。
しかし同時に、判断を迷わせることもあります。
次の記事では、現場で陥りがちな「知識の罠」について書きます。



